オリゴクローナルバンド(OB) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【臨床意義】
オリゴクローナルバンド(OB)は髄液の電気泳動でγグロブリン領域にみられる複数のバンドで、多くはIgGに属している。詳細な発現機序は不明であるが、複数の形質細胞クローンの増殖による、髄鞘構成蛋白に対する異常なIgG抗体と考えられている。OBは、典型的な多発性硬化症(MS)で非常に高頻度に認められ、MSの診断に有用とされ、多発性硬化症診断基準(改訂 Mc Donald 診断基準 2005年)の中に取り入れられている。MSは中枢神経における炎症性脱髄疾患で、自己免疫がその病態に強く関与していることが示唆されている。OBMS以外にも亜急性硬化性全脳炎、全身性エリテマトーデスなどの中枢性脱髄疾患、神経感染症や膠原病などでも認められる。膠原病などの自己免疫疾患や感染症では、髄液と血清を電気泳動した際に同じパターンのバンドが見られることが多く、同時に採取した髄液と血清で比較することが最も重要であり、髄液のみにOBが認められた場合を陽性と判断する。OBは、多発性硬化症の現在最も特異的な検査項目であり、高感度な等電点電気泳動法で測定することが重要とされている。
 
【主要文献】
1)「多発性硬化症治療ガイドライン」作成委員会. 多発性硬化症治療ガイドライン 2010.
2)新井雅信, 中津雅美. 多発性硬化症の診断における髄液のオリゴクローナルバンドの有用性.
  生物物理化学 44, 295-300 (2000).
3)中島一郎. 日本人多発性硬化症のオリゴクローナルバンド. Animus 2003 秋.
4)藤田清貴. IgG index,オリゴクローナルバンドの臨床的意義. MEDICAL TECHNOLOGY 34, 1249-1252 (2006).
5)中島一郎. 髄液の oligoclonal band はどのような機序で出現し、どのような意義がありますか? 
  臨床検査 57, 1220-1221 (2013).
 
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オリゴクローナルバンド(OB) パターン例
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