トリグリセライド分画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
トリグリセライド分画パターン例
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【臨床意義】
生体中のトリグリセライドは、主にエネルギー源としての貯蔵物質であり、脂肪中の最大量を占める。TG中には飽和脂肪酸としてパルミチン酸、不飽和脂肪酸としてオレイン酸とリノール酸が多く含まれています。血中のTGは、主として外因性小腸由来のカイロミクロンと、内因性肝由来の VLDL(Very Low DensityLipoprotein)に存在し、リポプロテインリパーゼの加水分解作用を受けて脂肪酸を遊離し、組織細胞の構築材料やエネルギー源として使われます。
高TG血症により、VLDLの処理能力が飽和されることや個々のVLDL粒子がより多くのTGを含有して分泌されることから、リポ蛋白中の脂質組成が異常となることがあります。これらによって起こるVLDLの異化障害がHDL(High DensityLipoprotein)の低下を引き起こし、動脈硬化を促進させることが明らかになっています。また高TG血症により、血液凝固系の第Z因子と第]因子の活性が促進され、線溶系のプラスミノーゲン活性化阻害因子(PAI−1)が増加されることにより、血栓傾向を促進するとされています。
近年では、TGレベルとLDL(Low Density Lipoprotein)の小粒子化に有意な相関が認められることが報告されています。小粒子化したLDLは催動脈硬化作用がより強いとされています。
 
【主要文献】
1)中里功,他. 脂質電気泳動に用いる血清検体の保存方法について
 第15 回サンプリング研究会 講演記録集, 74-76(2001)..

2)五島雄一郎編. わかりやすい脂質代謝とその異常. メディカルトリビューン.
3)武内望, 佐伯修一. 血清リポ蛋白と動脈硬化促進効果 -リポ蛋白分子サイズ、組成とその修飾効果について-. 臨床病理 43, 753-762(1995).
4)山下静也. 高中性脂肪血症と血栓形成. 血栓と循環 9, 33-39(2001).
5)平野勉,他. LDL粒子サイズと臨床的意義. Prog. Med.18 , 1915-1920(1998)
6)貴堂としみ, 他. アガロース電気泳動法によるリポ蛋白分析の臨床応用.The Lipid 9, 487-494(1998).
7)浦田武義. 電気泳動法によるリポ蛋白分画法. 臨床検査 29, 1344-1352(1985).
8)日本臨床病理学会. 日常初期診療における臨床検査の使い方 血清脂質異常と痛風(案), 1-15(1997).
9)厚生省・日本医師会編. 高脂血症 治療の手引き.
 
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