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IFE泳動パターン
免疫固定法(IFE) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【臨床意義】
免疫固定法(Immunofixation Electrophoresis:IFE)は、電気泳動と抗原抗体反応を組み合わせた蛋白の同定法です。
血清蛋白電気泳動において、おもにβ〜γグロブリン領域にM蛋白(Monoclonal Protein)と考えられるピークが検出された際、多発性骨髄腫等の単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)血症の診断の為に、その免疫グロブリンのクラス(H鎖)とタイプ(L鎖)を同定することが必要です。
またM蛋白の一種で、免疫グロブリンのL鎖だけがモノクローナルに増殖するものがあり、ベンス・ジョーンズ蛋白(BJP)と呼ばれていまする。このBJPは分子量が小さく、腎臓でろ過されて尿中に排出されることから、糸球体や尿細管に障害を与えるおそれがあり、その検出は非常に重要です。
免疫固定法は微量M蛋白の検出に有効であり、欧州血液骨髄移植グループ(European Group for Blood and Marrow Transplantation : EBMT)は、治療経過において免疫固定法でM蛋白が検出されないものを完全寛解(CR)と判定しています。従って、免疫固定法を用いることにより、治療効果の判断の為のより適切な情報提供が可能となります。
MGUS(Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance)とSMM(Smoldering Multiple Myeloma)は、血清M蛋白が微量であり、臓器障害が無い状態であることから、治療の適用とされていません。しかし、MGUSでは10年で12%、SMMでは中央値2年で骨髄腫への進展が示唆されるため、3〜6ヶ月ごとの検査と長期にわたる経過観察が必要とされています。
 
【特徴】
電気泳動法と抗原抗体反応を組み合わせた方法です。
アガロース電気泳動で分離されたM蛋白は、拡散することなく抗体と反応するので、M蛋白と同一の移動位置に染色帯が得られます。
免疫反応が10分間と短時間です。
 
【測定原理】
アガロースを支持体として蛋白電気泳動を行い、蛋白が泳動されている位置に抗血清を直接塗布し、抗原抗体反応を起こさせます。その後、未反応蛋白を除去して免疫沈降物を染色します。蛋白分画に出現したM蛋白と考えられる染色帯が、抗IgG、抗IgA、抗IgM、抗κ鎖および抗λ鎖血清のいずれによって抗原抗体反応を起こしているかを観察し、M蛋白の同定を行います。
 
 
1)Ritchie R.F., Smith R. Immunofixation. V. Application to Study of Monoclonal Proteins.
  Clin Chem 22, 1982-1985(1976).
2)中野栄二. Immunofixation法 電気泳動法のすべて(医歯薬出版株式会社), 153-156(1982).
3)Pascali E., et al. Immunofixation Application to the Identification of "Difficult" Monoclonal
  Components. Clin Chem 28, 1404-1405(1982).
4)佐藤雅志, 他. 微量M-蛋白の臨床的意義についての検討. 生物物理化学 32, 255(1988).
5)坪茂典, 舩渡忠男. 高感度免疫固定法を用いた2峰性Mたん白血症の同定. 衛生検査 39,
  15-20(1990).
6)日本骨髄腫研究会[編].多発性骨髄腫の診療指針 第1版(文光堂), 1-10 (2004).

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